渥美清&寅さん

(さくら:倍賞千恵子)


古い漫画のレコードなど


昭和44年から約25年間、48本もの作品が作られた「男はつらいよ」。実際に映画館で見たのは、4、5本しかありません。初期の作品は昔、テレビの年末特別番組で何回も見ました。寅さんが障子に寄りかかってひっくり返るシーンは単純なギャグですが、すごく印象に残っています。「とらや」での会話の「間の悪さ」と一家団欒時の寅さんの講釈は、腹を抱えて笑ったものです。もう何回も繰り返して見ているので、最初見たときのように大笑いができないのが少し残念です。

48作の中でどれがベストかといわれれば迷ってしまいます。初期の作品を除いて、最も笑えるのは第32作「口笛を吹く寅次郎」だと思います。これは、昭和40年代の寅さんシリーズに劣らず笑えます。マドンナで誰がベストかといわれれば、第2作「続・おとこはつらいよ」の佐藤オリエをあげるでしょう。佐藤オリエは、渥美清のテレビドラマ「泣いてたまるか」やテレビ版「男はつらいよ」にも出演していました。

テレビ版「男はつらいよ」(白黒:昭和43年10月3日〜昭和44年3月27日まで毎週木曜日夜10時から放送)は、さくらが長山藍子、さくらの夫の諏訪が井川比佐志、おばちゃんが杉山とく子、おじちゃんは映画と同じ森川信、マドンナが佐藤オリエでした。テレビの最終回は、寅さんが奄美大島でハブにかまれて死んでしまいます。このテレビ版のリメイクが、映画第2作
「続・男はつらいよ」です。長山藍子、杉山とく子、井川比佐志は、第5作「男はつらいよ 純情篇」に別の役で出演しています。

渥美清主演の映画では、東映の喜劇列車シリーズも面白いですね。(佐久間良子がきれいです。) 「キャプテン・ウルトラ」のアカネ隊員(城野ゆき)も出演しています。「拝啓天皇陛下様」は「のらくろ」のところで書きましたが、同じ野村芳太郎監督の「白昼堂々」(昭和43年 松竹映画)は、渥美清を親分とする万引き集団の話で、倍賞千恵子が渥美清の奥さん役で登場します。デパートでの渥美清、藤岡琢也の万引きグループと有島一郎(巡査部長)の駆け引きが見ものです。

「男はつらいよ」の人気が高まるにつれ、渥美清は寅さんのイメージを壊さないために「男はつらいよ」一本に絞らざるを得なかったようですが、「八つ墓村」(昭和52年 野村芳太郎監督)を見たとき(珍しく映画館で封切りを見た。)、渥美清の金田一耕助は適役ではないかと思ったものです。これは、シリーズ化してもらいたかったですね。こんなことを思っている渥美清ファンには、テレビドラマ「泣いてたまるか」は、うれしい作品です。このドラマは、渥美清が毎回、タクシーの運転手、学校の先生、大工、刑事、警察官、動物園の飼育係などいろいろな役を演じています。後に、寅さんがフィーバーして他の役ができなくなることを予感していたのではないでしょうか。

渥美清版「泣いてたまるか」放送リスト 
タ イ ト ル 放送日 タ イ ト ル 放送日 タ イ ト ル 放送日
1 ラッパの善さん 41.4.17 19 お家がほしいの 41.12.18 37 先生台北へ飛ぶ 42.8.13
2 やじろべえ夫婦 41.4.24 20 ある結婚 42.1.8 38 先生勇気を出す 42.8.20
3 ビフテキ子守唄 41.5.8 21 恋をつまびく 42.1.22 39 先生追い出される 42.9.3
4 オールセーフ 41.5.22 22 リモコン亭主 42.2.5 40 先生泣いてたまるか 42.9.17
5 二人になりたいッ 41.6.5 23 ウルトラおやじとひとりっ子 42.2.19 41 兄と妹 42.10.1
6 浪花節だよ人生は 41.6.19 24 まんが人生 42.3.5 42 ぼくのお父ちゃん 42.10.15
7 あすは死ぬぞと 41.7.8 25 ああ純情くん 42.3.19 43 ある日曜日 42.10.29
8 ああ、誕生 41.7.17 26 僕もガードマン 42.4.2 44 日本で一番もてない男 42.11.12
9 おお独身くん! 41.8.7 27 先生早とちりをする 42.4.9 45 ああ無名戦士! 42.11.26
10 さらば飛行服 41.8.14 28 先生ラブレターを書く 42.4.16 46 ああ軍歌 42.12.10
11 先輩後輩 41.8.28 29 先生ニッポンへかえる 42.4.23 47 雪の降る街に 42.12.24
12 子はかすがい 41.9.11 30 先生しごかれる 42.5.7 48 吹けよ春風 43.1.7
13 さよなら敬礼! 41.9.25 31 先生初恋の人に逢う 42.5.12 49 まごころさん 43.1.21
14 帰れ!わが胸に 41.10.9 32 先生仲人をする 42.6.4 50 禁じられた遊び 43.2.4
15 僕も「逃亡者」 41.10.23 33 先生故郷へかえる 42.6.18 51 意地が涙を 43.2.18
16 豚とマラソン 41.11.6 34 先生週刊誌にのる 42.7.2 52 おお怪獣日本一 43.3.3
17 あゝ高砂や 41.11.20 35 先生推理する 42.7.16 53 東京流れ者 43.3.17
18 その一言がいえない 41.12.4 36 先生海で溺れる 42.7.23 54 男はつらい 43.3.31

放送日がとびとびになっているのは、「泣いてたまるか」には青島幸男版と渥美清版があり、それが交互に放送されていたことによるものです。渥美清が歌う主題歌「泣いてたまるか」は昔から記憶にあったので、このうちいくつかは実際にテレビで見ていたとは思うのですが・・・。青島幸男版では、主題歌を青島幸男が歌っていたのでしょうか? 御存知の方は教えてください。

1「兄と妹」と42「ぼくのお父ちゃん」は泣けます。43「ある日曜日」は悲劇です。47「雪の降る街に」は素晴らしい家族の物語です。54「男はつらい」は、この最終回から半年後に始まるテレビ版「男はつらいよ」を予告しているようです。54「男はつらい」の脚本は山田洋次/稲垣俊です。寅さんでは、片思いであっけなくふられるパターンと相思相愛になりながら自分から身を引く二つのパターンがありますが、54「男はつらい」は後者です。ちなみに、テレビ版「男はつらいよ」は前者です。

渥美清版全54作のうち竹書房から発売されたベスト・セレクション全10巻には20作が収録されており、レンタル・ビデオ店で別の2巻を見つけ全部で24作見ています。残り30作もぜひ見てみたいものです。(2002.1.28記)





●まず最初に渥美清のCDから。いずれも、追悼盤として急遽発売になったものです。
    昭和40年代後半から50年代前半にLPで発売されたものだと思います。



渥美清が歌う 哀愁の日本叙情曲集
1 故郷
2 叱られて
3 浜辺の歌
4 この道
5 島原地方の子守唄
6 五ツ木の子守唄
7 赤とんぼ
8 花嫁人形
9 七つの子
10 十五夜お月さん
11 砂山
12 中国地方の子守唄
96年
渥美清が歌う哀愁の日本叙情曲集です。「赤とんぼ」と「七つの子」は、「渥美清ツインパック全曲集 男はつらいよ・泣いてたまるか」に収録されているものとは、別テイクです。「ツインパック全曲集」では、女の子とのデュエットになっていますが、こちらは渥美清のソロです。渥美清が歌う「故郷」「赤とんぼ」「七つの子」は味があってとても素敵です。「男はつらいよ」では、第6作「純情篇」で「故郷」、第10作「寅次郎夢枕」と第36作「柴又より愛をこめて」で「七つの子」を歌うシーンがあります。テレビ版では、寅さんが第1回目のしょっぱなから駅のトイレで「故郷」を口ずさんでいます。



渥美清が歌う 哀愁の日本軍歌集
1 戦友
2 婦人従軍歌
3 可愛いスウチャン
4 ラバウル小唄
5 道は六百八十里
6 討匪行
7 麦と兵隊
8 海軍小唄
9 歩兵の本領
10 空の勇士
11 父よあなたは強かった
12 海ゆかば
96年
ジャケット写真は、渥美清の主演映画「拝啓天皇陛下様」(昭和38年)の山田庄助です。(漫画の部屋「のらくろ」の稿参照)
「海軍小唄」は、小林旭が歌ってヒットした「ズンドコ節」の本歌です。この中では、「軍歌の部屋」でも書いたように、3、9、12が好きな曲です。
「男はつらいよ」では、寅さんが第31作「旅と女と寅次郎」で「海ゆかば」を口ずさんでいます。



噫々、戦友の詩(ああ、せんゆうのうた)
1 美しい虚構
●海ゆかば
2 友は征った
●同期の桜
3 父への手紙
●麦と兵隊
4 初めての回天搭乗
●出征兵士を送る唄
5 わが愛する妻
●戦友の遺骨を抱いて
6 八重子
●戦友
7 泥寧〜雪の夜
●討匪行
8 元山より母へ最後の手紙
●空の勇士
9 遺書
●加藤隼戦闘隊
10 遺書
●同期の桜
11 夜の春雷
●歩兵の本領
12 小鳥に与える
13 ギネメルとマンフレッド
●海ゆかば
96年
昭和46年に録音されたLPの復刻版です。日本戦没学生の手記「きけわだつみのこえ」(カッパ・ブックス)から13編を渥美清が朗読しています。手記の次の曲が朗読のBGMになっており、朗読後に渥美清が歌っているものもあります。

 なげけるか いかれるか
 はたもだせるか
 きけ はてしなきわだつみのこえ


私は、岩波文庫で読みました。




96年
CD2枚組です。おそらく、LPでは、Disc1とDisc2は、別アルバムだったのではないかと思います。Disc1は映画「男はつらいよ」、Disc2はテレビドラマ「泣いてたまるか」をフィーチャーしたものになっています。「男はつらいよ」は、作詞:星野哲郎、作曲:山本直純、「泣いてたまるか」は、作詞:良池まもる、作曲:木下忠司です。このCDで一番好きな曲は、Disc2の「夕やけこやけ」です。渥美清の歌唱は、哀愁を帯びたスローテンポな曲にぴったりです。この曲は、女の子とのデュエット(渥美清が父親)になっており、中間部に「あっ!おほしさま見つけた!」(女の子) 「あぁ あ〜 ほんとだ ぁぁきれいだねぇ」(渥美清)というセリフが入ります。このやりとりが何とも言えません。「七つの子」「赤とんぼ」も同じ女の子とのデュエットになっています。
シングル・レコードで発売されたのは、「泣いてたまるか」(66年5月)、「男はつらいよ」(70年2月)、「ごめんくださいお訪ねします」(72年3月)、「こんな男でよかったら」(73年4月)、「いつかはきっと」(74年8月)、「寅さん音頭」(75年7月)、「祭りのあと」(75年9月)、「渥美清の啖呵売」(76年6月)、「浅草日記」(77年6月)、「今日はこれでおしまい」(77年10月)、「Disco翔んでる寅さん」(79年10月)です。「寅さん音頭」と「Disco翔んでる寅さん」は、映画では使われていません。
渥美清ツインパック全曲集
男はつらいよ・泣いてたまるか
Disc1 1 男はつらいよ
2 あゝ声なき友
3 こんな男でよかったら
4 遠くへいきたい
5 人生の並木道
6 東京でだめなら
7 ミヨちゃん
8 七つの子
9 渥美清の啖呵売(一)
10 寅さん音頭
11 駅弁唱歌
12 すかんぽの唄
13 DISCO・翔んでる寅さん
14 男の純情
15 ひとり寝の子守唄
16 男はつらいよ(カラオケ)
Disc2 1 泣いてたまるか
2 チンガラホケキョーの唄
3 ごめんくださいお訪ねします
4 ひとは誰でも
5 二人は若い
6 うちの女房にゃ髭がある
7 砂山
8 夕やけこやけ
9 花嫁人形
10 渥美清の啖呵売(二)
11 いつかはきっと
12 祭りのあと
13 浅草日記
14 着流し小唄
15 今日はこれでおしまい
16 裏町人生
17 赤とんぼ




●寅さんの妹さくら(倍賞千恵子)のベスト盤CDもここで紹介します。


決定版!倍賞千恵子
1 さよならはダンスの後に
2 ラブレター
3 下町の太陽
4 瞳とじれば
5 おはなはんの歌
6 私でよかったら
7 花はどこへ行った
8 雨にぬれても
9 チム・チム・チェリー
10 ラ・ノビア
11 さくら貝の唄
12 忘れな草をあなたに
13 あざみの歌
14 心の窓に灯を
15 白い花の咲く頃
16 雪の降る町を
17 ちいさい秋みつけた
18 赤とんぼ
19 城ヶ島の雨
20 惜別の歌
94年
しかし、演歌や歌謡曲のベスト盤のレコードやCDは、ジャケットが冴えないですね。日の丸構図が多いですね。素人の私でもデザインできそうです。もっと、レコード会社にジャケットにも力を入れてもらいたいと言いたい。「おはなはんの歌」は心が洗われるような名曲。「NHK朝の連続テレビ小説」の一番初め「おはなはん」(昭和41年:樫山文枝主演)の主題歌です。小学4年生だったので、ドラマの内容は理解できませんでしたが、音楽だけはよく覚えていました。倍賞千恵子は演技だけでなく歌も上手ですが、「赤とんぼ」は渥美清が歌う方が好きです。童謡と唱歌は、由紀さおりや倍賞千恵子のように歌唱力のある人が歌うよりも、子供や渥美清のように純朴な感じで歌った方が味があります。




●ここからは、寅さん関係のCDです。


男はつらいよ サウンドトラックヒストリー その一
1 第1作「男はつらいよ」('69)
2 第2作「続・男はつらいよ」('69)
3 第3作「男はつらいよ フーテンの寅」('70)
4 第4作「新・男はつらいよ」('70)
5 第5作「男はつらいよ 望郷篇」('70)
6 第6作「男はつらいよ 純情篇」('71)
7 第7作「男はつらいよ 奮闘篇」('71)
8 第8作「男はつらいよ 寅次郎恋唄」('71)
9 第9作「男はつらいよ 柴又慕情」('72)
10 第10作「男はつらいよ 寅次郎夢枕」('72)
95年
このシリーズは、「その一」から「その四」まであり、最終作である第48作を除くすべての作品のBGMが4枚のCDに分けられています。「男はつらいよ」の情感あふれるBGMのオリジナル音源が各作品5〜10曲程度収録されています。「その一」は、第1作から第10作までです。この中で一番好きな作品は第10作「寅次郎夢枕」です。一番好きなマドンナは第2作の佐藤オリエです。次点は、第10作の八千草薫、第4作の栗原小巻です。ジャケットの絵は高井研一郎の漫画です。



男はつらいよ サウンドトラックヒストリー その二
1 第11作「男はつらいよ 寅次郎忘れな草」('73)
2 第12作「男はつらいよ 私の寅さん」('73)
3 第13作「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ」('74)
4 第14作「男はつらいよ 寅次郎子守唄」('74)
5 第15作「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」('75)
6 第16作「男はつらいよ 葛飾立志篇」('75)
7 第17作「男はつらいよ 寅次郎夕焼け子焼け」('76)
8 第18作「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」('76)
9 第19作「男はつらいよ 寅次郎と殿様」('77)
10 第20作「男はつらいよ 寅次郎頑張れ!」('77)
11 第21作「男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく」('78)
95年
「その二」は、第11作から第21作までです。この中で一番好きな作品は第19作「寅次郎と殿様」です。一番好きなマドンナは、第14作の十朱幸代です。第14作から第19作まで「男はつらいよ」が映画作品として人気、内容ともに非常に充実していた時期だと思います。



男はつらいよ サウンドトラックヒストリー その三
1 第22作「男はつらいよ 噂の寅次郎」('78)
2 第23作「男はつらいよ 翔んでる寅次郎」('79)
3 第24作「男はつらいよ 寅次郎春の夢」('79)
4 第25作「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花」('80)
5 第26作「男はつらいよ 寅次郎かもめ歌」('80)
6 第27作「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎」('81)
7 第28作「男はつらいよ 寅次郎紙風船」('81)
8 第29作「男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋」('82)
9 第30作「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」('82)
10 第31作「男はつらいよ 旅と女と寅次郎」('83)
11 第32作「男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎」('83)
12 第33作「男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎」('84)
13 第34作「男はつらいよ 寅次郎真実一路」('84)
95年
「その三」は、第22作から第34作までです。この中で一番好きな作品は第32作「口笛を吹く寅次郎」です。一番好きなマドンナも、第32作の竹下景子です。第26作から第29作あたりは、封切りを映画館まで見に行っていました。



男はつらいよ サウンドトラックヒストリー その四
1 第35作「男はつらいよ 寅次郎恋愛塾」('85)
2 第36作「男はつらいよ 柴又より愛をこめて」('85)
3 第37作「男はつらいよ 幸福の青い鳥」('86)
4 第38作「男はつらいよ 知床慕情」('87)
5 第39作「男はつらいよ 寅次郎物語」('87)
6 第40作「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日」('88)
7 第41作「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」('89)
8 第42作「男はつらいよ ぼくの伯父さん」('89)
9 第43作「男はつらいよ 寅次郎の休日」('90)
10 第44作「男はつらいよ 寅次郎の告白」('91)
11 第45作「男はつらいよ 寅次郎の青春」('92)
12 第46作「男はつらいよ 寅次郎の縁談」('93)
13 第47作「男はつらいよ 拝啓 車寅次郎様」('94)
95年
「その四」は、第35作から第47作までです。この中で一番好きな作品は第41作「寅次郎心の旅路」です。一番好きなマドンナは、第45作の風吹ジュンです。久美子の部屋」でも同じことを書きましたが、このように作品を順に見ていくと、第39作目「寅次郎物語」あたりから渥美清の体力的な衰えがはっきりと見え始めます。第1作が40才になったばかりの頃、第39作が59才の頃です。これは仕方のないことですね。



男はつらいよ リリーと寅次郎 紅の花
1 第11作 寅次郎忘れな草('73)より
2 第15作 寅次郎相合い傘('75)より
3 第25作 寅次郎ハイビスカスの花('80)より
4 第48作 寅次郎 紅の花('95)より
96年
サウンドトラックヒストリーその一〜四で収録できなかった第48作(最終作)を中
心に、リリー(浅丘ルリ子)出演の4作品からBGMや名場面を集めたアルバムです。第11作「寅次郎忘れな草」では、浅丘ルリ子がキャバレー歌手として「港が見える丘」を歌っていますが、これもちゃんと収録されています。第25作「ハイビスカスの花」では、「東京夜曲」を歌っています。浅丘ルリ子も歌がうまいですね。レコードがほしくなりました。テレビで寅さんの名場面特集をやるとき、必ず出てくる「メロン騒動」は、第15作「寅次郎相合い傘」での一場面ですが、このCDには収録されていません。



 男はつらいよ 歴代マドンナ名曲集

「男はつらいよ」全48作の歴代マドンナのテーマ曲集です。全曲(36、55、57を除く)山本直純による作曲です。たくさんの女優が寅さんのマドンナとして登場しました。

この中では、「5.お志津のテーマ(新珠三千代)」「8.夕子のテーマ(若尾文子)」「19.礼子のテーマ(樫山文枝)」「26.早苗のテーマ(大原麗子)」「 36.はるみのテーマ(都はるみ)」の旋律が好きです。

山本直純の曲はメロディのきれいなものが多いですが、マグマ大使の「ガムの歌」(昭和41年)のスローテンポの部分は、寅さんのマドンナ・テーマソングとしても使えそうな気がします。使うとしたら、やはり昭和40年代の作品がいいでしょう。第8作「寅次郎恋歌」(マドンナ:池内淳子)に使えば雰囲気はバッチリ合うと思います。
96年
1.松竹マークの音楽 2.主題歌「男はつらいよ」第7作版 3.冬子のテーマ (光本幸子)4.夏子のテーマ(佐藤オリエ) 5.お志津のテーマ(新珠三千代) 6.春子のテーマ(栗原小巻) 7.節子のテーマ(長山藍子) 8.夕子のテーマ(若尾文子) 9.花子のテーマ(榊原るみ) 10.貴子のテーマ(池内淳子) 11.さくらのバラード(インスト) 12.歌子のテーマ(吉永小百合) 13.千代のテーマ(八千草薫) 14.リリーのテーマ(浅丘ルリ子) 15.りつ子のテーマ(岸恵子) 16.歌子のテーマ 17.京子のテーマ(十朱幸代) 18.リリーのテーマ 19.礼子のテーマ(樫山文枝) 20.ぼたんのテーマ(太地喜和子) 21.綾のテーマ(京マチ子) 22.鞠子のテーマ(真野響子) 23.藤子のテーマ(藤村志保) 24.愛のワルツ(大竹しのぶ) 25.奈々子のテーマ(木の実ナナ) 26.早苗のテーマ(大原麗子) 27.ひとみのテーマ(桃井かおり) 28.圭子のテーマ(香川京子) 29.リリーのテーマ 30.すみれのテーマ(伊藤蘭) 31.ふみのテーマT(松坂慶子) 32.ふみのテーマU 33.光枝のテーマ(音無美紀子) 34.かがりのテーマ(いしだあゆみ) 35.蛍子のテーマ(田中裕子) 36.はるみのテーマ(都はるみ) 37.朋子のテーマ(竹下景子) 38.風子のテーマ(中原理恵) 39.ふじ子のテーマ(大原麗子) 40.若菜のテーマ(樋口可南子) 41.真知子のテーマ(栗原小巻) 42.あけみのテーマ(美保純) 43.美保のテーマ(志穂美悦子) 44.りん子のテーマ(竹下景子) 45.隆子のテーマ(秋吉久美子) 46.真知子のテーマ(三田佳子) 47.久美子のテーマ(竹下景子) 48.泉のテーマ(後藤久美子) 49.泉のテーマ 50.聖子のテーマ(吉田日出子) 51.泉のテーマ 52.蝶子のテーマ(風吹ジュン) 53.泉のテーマ 54.葉子のテーマ(松坂慶子) 55.亜矢のテーマ(城山美佳子) 56.典子のテーマ(かたせ梨乃) 57.菜穂のテーマT(牧瀬里穂) 58.菜穂のテーマU 59.泉のテーマ 60.リリーのテーマ 61.さくらのテーマ 62.主題歌「男はつらいよ」第1作版カラオケ



男はつらいよ
「それを言っちゃあおしまいよ!」寅さん発言集
1 プロローグ
2 寅さん、柴又に帰る
3 さくらの見合い、博と寅さん
4 少年時代の寅さんの夢
5 寅さんの商売
6 寅さんと労働
7 寅さん珍場面その一
8 人間の幸福とは
9 寅さんの恋愛論
10 寅さんの人間論
11 寅さん珍場面その二
12 寅さんの旅立ち
96年
これも寅さんの名場面や名セリフを収録したサウンド・トラック盤です。第1〜3作、第5〜8作、第10作、第11作、第13作、第15作、第18作、第21作、第22作、第24作、第29作、第32作、第39作、第41作からテーマごとにセリフや音楽が収録されています。博の父親から聞いた「りんどうの家の話」を「とらや(第40作から「くるまや」に変更)」の夕食時に受け売りで説明するところは有名です。(第8作「寅次郎恋歌」)



男はつらいよ 御存知名場面集
1 男はつらいよ<第1作より>
2 男はつらいよ<純情編より>
3 さくらのバラード
4 寅さんの子守唄
96年
「男はつらいよ」の第1作と第6作から名場面がそれぞれ30分近く収録されています。第6作が昭和46年の作品ですので、おそらくこの頃に発売されたサウンド・トラックのLPの復刻盤ではないかと思います。ビデオやLD、DVDが出回っている今日では、この手のサントラ盤はもう価値はないかもしれません。
「さくらのバラード」と「寅さんの子守唄」はいずれも「作詞:山田洋次、作曲:山本直純、歌:倍賞千恵子」です。いずれの曲も途中に渥美清のセリフが入ります。「寅さんの子守唄」は、劇中使われていません。倍賞千恵子は、松竹音楽舞踊学校を首席で卒業し、松竹歌劇団にいたこともあって、さすがに歌・演技・容姿の三拍子が揃っています。




主題歌「男はつらいよ」について

「男はつらいよ」の主題歌には、いくつか歌詞の違うものやテイク違いがあります。ここでは、仮に、全48作中最も多いパターンの、
1番 どうせおいらはやくざな兄貴・・・
2番 どぶに落ちても根のある奴は・・・ 
をスタンダードとしましょう。

第1作と第3作では、1番の
「どうせおいらはやくざな兄貴」の部分が「おれがいたんじゃお嫁にゃゆけぬ」となっています。
第1作目にして早くもさくらがお嫁に行ってしまったので、第5作から歌詞が変えられています。また、渥美清は、第1作では「いつかお前喜ぶような」を「いつかお前喜ぶような」と歌っています。第2作では2番しか使用されていません。

第4作では、「どうせおいらは底抜けバケツ・・・」と全く別の歌詞が使用されています。これは、第4作でしか聴けません。

第7作では、1番の「どうせおいらはやくざな兄貴」を「どうせおいらはやくざな」と歌っています。何か特別な意図があったのでしょうか? それとも、渥美清が歌詞を間違えて歌ったのをそのまま使用したとか?

第17作から第19作までは、
1番は定番と同じですが、2番が「あてもないのにあるよな素振り・・・」と、ここでも新しい歌詞が使われています。

以上を総合すると、定番の1、2番の他に、もう2つ別の歌詞があり、全部で4番まであることになります。


歌に入る前のあの有名なセリフ、「わたくし生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天でうぶ湯を使い・・・」も、作品によっては多少の変化がみられますが、第32作では、全く別のイキのいいセリフになっています。
「大道三間軒下三寸借り受けましての渡世 わたくし野中の一本杉でござんす。」 注意して聴いてみてください。これいいですよ。ちなみに、テレビ版は、「生まれは葛飾 柴又の 帝釈天のうぶ湯で育ち 姓は車 名は寅次郎 人呼んでフーテンの寅と発します。」です。威勢はそれほどよくありません。

「男はつらいよ」のレコードは、当然ながら、1番が「おれがいたんじゃお嫁にゃゆけぬ・・・」のバージョンで録音されています。2番が「どぶに落ちても根のある奴は・・・」で、最後のリフレイン部分「男というものつらいもの 顔で笑って 顔で笑って腹で泣く 腹で泣く」があります。映画ではこのリフレイン部分はいつもカットされています。また、レコードでは終わりのセリフ「とかく 西に行きましても 東に行きましても 土地土地の・・・」もあります。

全48作のテーマソングの部分だけを編集して、自分で「寅さん主題歌集1〜48」というタイトルを付けて1本のビデオテープにしています。こうやって全作品の主題歌をまとめて聴いてみるのもおもしろいですよ。暇な人はぜひやってみてください。(2002.1.28記)

※「男はつらいよ」(作詞:星野哲郎、作曲:山本直純)





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