どろろ

手塚 治虫 作画


小さいのが「どろろ(実は女の子)」、大きいのが「百鬼丸」です。 どろろ(オリジナルサウンドトラック)
A どろろ(パイロット版)
 挿入歌 どろろの歌
B どろろと百鬼丸(最後の妖怪)
 挿入歌 どろろの歌
どろろの歌
作詞 鈴木良武 作曲 冨田勲
うた 藤田淑子
1979 日本コロンビア株式会社



「バンパイヤ」の連載終了後、昭和42年の夏から昭和43年の夏にかけて「少年サンデー」に連載されました。テレビ化にあわせて1年後に「冒険王」で連載が再開されました。少年サンデー版の「どろろ」は未完で終わったとのことですが、当時、「少年サンデー」を読んでいて、未完で終わったという印象はありません。かえって、テレビ化にあわせて「冒険王」で付け足された部分は余計ではないか、という気がします。無理矢理付け足したとしか思えません。

テレビは、昭和44年4月から9月まで放送され、途中でタイトルが「どろろ」から「どろろと百鬼丸」に変更されました。主人公がどろろよりも百鬼丸に見える、ということからタイトルが変更されたようですが、「どろろ」の方がすっきりしていていいと思います。「どろろと百鬼丸」というように登場人物の名前を並列にしてタイトルにしたものはあまり見かけません。石森章太郎の「佐武と市捕物控」「縄と石捕物控」くらいしか思い浮かびませんが、捕物控が付いているので純粋な並列ではありません。また、「縄と石」は登場人物ではありません。他に「安寿と厨子王」が浮かびますが、これは漫画ではありません。「伊賀の影丸」や「青の6号」のように「○○の○○」というタイトルは非常に多いですね。「どろろ」と「百鬼丸」のどちらが主人公かはっきりしない、というのであれば、「天才バカボン」はテレビ化のとき、「バカボンとパパ」というタイトルにするべきだったでしょう。

「どろろの歌」は、番組のオープニング・テーマにはなっておらず、エンディングで流れていました。ですから、「宇宙エース」のところで、好きな主題歌ベストテンに入れず、好きな副主題歌ベストテンに入れています。「ホゲホゲ タラタラ ホゲ タラポン」の後の「赤い夕日に照り映えて・・・」からのメロディがとても素敵ですね。

ここで紹介している「どろろ」のサウンド・トラック盤はジャケットが左開きになっています。LPジャケットの左開きというのはあまり見かけません。レコードを取り出すとき、習慣でいつも反対になってしまいます。ジャケット帯の定位置が左ですので、やはり右開きにするべきでしょう。このLPと同シリーズであるコロンビアのサウンド・トラック盤「リボンの騎士」「タイガーマスク」のLPも同じように左開きになっています。

このLPのA面は、テレビ化前のパイロット版サウンド・トラックです。「どろろ」のプロローグ、醍醐が48匹の魔神に、自分の子供(百鬼丸)の体を48カ所与える代わりに天下を取らせろ、という約束をする場面が収録されています。B面は、テレビ版の最終回が収録されています。テレビ版の最終回では、漫画と違って百鬼丸の父である醍醐景光が最後の48匹目の妖怪ということになっていますが、なんか変ですね。そうすると、最初、自分が自分に約束したことになってしまいます。このように、原作に後で話を付け足すと必ずおかしなことになります。テレビ作品より原作を重視する者にとっては嘆かわしいことです。読み切り連載型のギャグ漫画であれば、あまり問題ないと思いますが、ストーリー漫画や劇画でこういうことをやられると読者や視聴者は混乱します。しかし、「タイガーマスク」のように、後半、漫画のストーリーを大幅に変えて、原作を上回る素晴らしい作品に仕上がったものもあります。

「W3」「バンパイヤ」「どろろ」まで書いたので、ここで、「週刊少年サンデー」に連載された手塚漫画を振り返ってみましょう。「週刊少年サンデー」創刊号からの「スリル博士」(昭和34年)に始まり、それから「0マン」(昭和34〜35年)「キャプテンKen」(昭和35〜36年)「白いパイロット」(昭和36〜37年)「勇者ダン」(昭和37年)と連載が続きます。「勇者ダン」から約2年半後に、私が「少年サンデーの手塚3部作」と呼んでいる「W3」「バンパイヤ」「どろろ」と続き、さらに3年半間があき、「ダスト8(雑誌連載時ダスト18)」(昭和47年)「サンダーマスク」(昭和47〜48年)と続きます。どういうわけか、少年サンデーでは、昭和47年に発表した「サンダーマスク」が最後になりました。「勇者ダン」と「W3」の間に、読み切りの「偉大なるゼオ」(昭和39年)が発表されています。

70年代に入ってからの「ダスト8」と「サンダーマスク」は、力の抜けたような作品で作者本人の言っているとおり失敗作かもしれません。私が漫画に夢中だった頃、手塚治虫は週刊誌では、少年サンデーを中心に作品を発表していましたが、「どろろ」の後は、少年チャンピオンが中心になります。

手塚治虫の漫画は、子供漫画より大人向けの方が好き、という人もいますが、私はやっぱり子供漫画の方が好きです。大人向け漫画というのは、手塚漫画がそうであるというわけではありませんが、概してストーリーよりもお色気が優先されており、面白くないものが多いですね。「どろろ」以降の手塚子供漫画では、「三つ目がとおる」「七色いんこ」「ミッドナイト」などが好きです。
(2001.11.3記)

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