大空のちかい
(隼)

九里 一平 作画



手前が零戦、後方が隼

 −空の決戦歌集−

発行日不明
コダマプレス
定価 280円

シート1 シート2
       1 隼のマーチ
       2 空の神兵
       3 軍艦行進曲

      歌  コダマ混声合唱団
     演奏 コダマブラス・オーケストラ
       1 加藤隼戦闘隊
       2 行進曲・大空


      歌  コダマ男声合唱団
     演奏 コダマブラス・オーケストラ


 

少年サンデー昭和39年19号扉表題の「大空のちかい」というのは、看板に偽りありで、軍歌のシート・レコード集「隼」のジャケットが、九里一平の絵になっているだけです。残念ながら「大空のちかい」のシート・レコードは発売されていないと思います。「隼」は、軍歌のシート・レコード集だから、「軍歌の部屋」で紹介すべきところでしょうが、九里一平の絵の方がインパクトが強いため、「漫画の部屋」で紹介することにしました。このジャケットを見て、「あっ 大空のちかいだ!」と思った人は、古い漫画の通です。九里一平の絵で「隼」といえば、昭和30年代末期の少年サンデーを読んでいた人はすぐに「大空のちかい」を思い浮かべることでしょう。

「大空のちかい」は昭和37年から昭和39年まで週刊少年サンデーに連載されていました。加藤隼戦闘隊所属の少年航空兵、早房一平伍長が主人公です。この頃は、戦闘機漫画は忍者漫画とともに非常に人気がありました。私の頭の中には、「隼・大空のちかい・九里一平・少年サンデー」、「零戦・0戦はやと・辻なおき・少年キング」、「紫電改・紫電改のタカ・ちばてつや・少年マガジン」という図式がいつのまにかできあがっていました。「大空のちかい」は、鉄人28号、伊賀の影丸、おそ松くんとともに漫画を読み初めて最も初期の頃に好きになった漫画の一つです。「大空のちかい」の最終回では、第3部を待てとの予告がありましたが、「大空のちかい」第3部はとうとう描かれませんでした。
少年サンデー昭和43年2号3号合併号扉
右の写真は、九里一平の「弾丸児」という漫画です。昭和42年〜43年に週刊少年サンデーに連載されていました。巨人軍の大監督だった川上哲治の小学から熊工時代の物語です。九里一平は、「大空のちかい」以来、少年サンデーに3年ぶりの登場でした。この「弾丸児」の扉は、昭和43年2号3号合併号のものです。この号のラインナップは、「もーれつア太郎」(赤塚不二夫)、「おそ松くん」(赤塚不二夫)、「21エモン」(藤子不二雄)、「アニマル1」(川崎のぼる)、「どろろ」(手塚治虫)、「ジャイアントロボ」(横山光輝)、「片目柳生」(諏訪栄)、「おらあグズラだど」(板井れんたろう)、「あかつき戦闘隊」(園田光慶)、「キャプテンスカーレット」(江波譲二)、「弾丸児」(九里一平)、「スーパーボス」(わちさんぺい)、「イサムよ銃をとれ」(川崎のぼる)の13本でした。下に紹介している昭和39年19号に比べて4年で大きく変わっていることがお分かりでしょう。この中でも、「弾丸児」は、唯一昭和30年代の雰囲気を持った漫画でした。

「弾丸児」が終わった年に、テレビ漫画にもなった「紅三四郎」が少年サンデーで始まります。しかし、絵が当時流行の劇画調に変えてあり、少しガッカリしました。これは、九里一平が意図的に画風を変えたのではなく、巨人の星、あしたのジョー、無用ノ介などの劇画路線で好調だった少年マガジンに対抗するための、サンデー編集者側の要望だったのではないかと思います。

ここで、シート・レコード「隼」の紹介をしておきましょう。シート1の「隼のマーチ」は、シート2の「加藤隼戦闘隊」の演奏版です。シート1の「軍艦行進曲」もオーケストラの演奏版です。シート1の「空の神兵」は、混声合唱になっています。シート2の「行進曲・大空」は、誰でも聴いたことがある有名なマーチです。

戦闘機「隼」についても書いておきましょう。隼と零戦は、同じ中島製「栄」エンジンを搭載しており、陸軍で最も生産された戦闘機が隼、海軍で最も生産された戦闘機が零戦、ということでこの2機はよく比較されます。私は、「大空のちかい」の影響で隼ファンでした。隼の正式名称は、「キ四三 一式戦闘機」です。以下、参考までに日本陸軍の戦闘機の名称を掲げます。二式単座戦闘機を「鍾馗」、三式戦闘機を「飛燕」、四式戦闘機を「疾風」、五式戦闘機(名はなく単に「五式戦」と呼ぶ。)、二式複座戦闘機を「屠龍」といいます。「大空のちかい」の連載終了後、まもなくして、またもや戦争漫画が始まりました。それは、荘司としおの「虹の戦闘隊」です。二式複座戦闘機「屠龍」が活躍する漫画です。(2002.11.2記)




「大空のちかい」
連載最終号

みらいの新兵器「空とぶ潜水艦」(え・小松崎茂)


昭和39年 5月3日号 19号 解説
特ダネ図解 世界の奇跡 解説・庄司浅水 世界のあっとおどろく事件特集
読み物 ああ少年飛行兵 文・秋本実/え・梶田達二 太平洋戦争の記録
連さいまんが 鋼鉄人間シグマ え・塚本光治/原作・横山光輝 科学省の強力ロボット「ストロング」との闘い
連さいまんが おそ松くん 赤塚不二夫 イヤミのつり堀のおはなし
空想科学ドラマ 電気のさいご 文・佐伯誠一/え・中村英夫 宇宙からきた電気を食べるエレスケス
連さいまんが 伊賀の影丸 横山光輝 「第四部 七つの影法師」 夢麿死す!
連さいまんが 山いも大将 板井れんたろう 山川のぼる野球部に入る
連さいまんが サブマリン707 小沢さとる 敵潜水艦401の新兵器「エア・ロック」発射!
科学シリーズ ムウ人が作った!?
ナゾの巨人像
え・萩原孝治 イースター島の石像のはなし
ノンフィクション 11才の予言者 文・永野敏夫/え・小林弘隆 アラスカ大地震を4日前に知らせた少年のはなし
連さいまんが 暗闇五段 寺田ヒロオ 行方不明になっていた倉見が発見される
連さいまんが 大空のちかい 九里一平 最終回


−古い漫画のレコードなど−



                     

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