８マン（エイトマン）

平井　和正　原作
桑田　次郎　漫画

	エイトマン（オリジナルサウンドトラック）
	A	1	エイトマン（主題歌）
		2	第１話「エイトマン登場」より
		3	第９話「光線銃レーザー」より 第１０話「ロボット００７」より
		4	第８話「超小型ミサイル」より
	B	1	第３４話「決闘」より
		2	第９話「光線銃レーザー」より 第２２話「ゼロへの挑戦」より
		3	第５５話「超人類ミュータント」（前）より 第５５話「超人類ミュータント」（後）より
			エイトマン（主題歌） 作詞　前田武彦　作曲　萩原哲晶 うた　たいらいさお
			１９８０　キングレコード

オリジナルサウンドトラック盤ですが、主題歌を歌っているのは「たいらいさお」です。オリジナルの「克美しげる」の溌剌とした歌い方に対し、やや静かな感じで歌っています。エイトマン主題歌のイントロ部分は数あるアニメソングの中でも屈指で、血湧き肉躍る出だしです。

ＬＰのＡ３、Ｂ２はＢＧＭです。Ｂ１の第３４話「決闘」とＢ２の第２２話「ゼロへの挑戦」はオリジナル漫画にはありませんでした。Ａ２「エイトマン登場」では、谷博士がエイトマンとして生まれ変わった東八郎に電子頭脳のタバコ型強化剤を一日４本喫うように説明しています。漫画では「一日４本」という指示はありませんでした。

エイトマンが強化剤のタバコを喫うシーンは、テレビでも漫画でも頻繁に出てきます。しかし、現在では、タバコを喫うことは社会的によくないこととされているので、教育委員会等で問題になり、タバコ型の強化剤については設定変更を余儀なくされるでしょう。実際、自分も友だちとココア味のシガレット菓子を煙草を喫うまねをして食べていました。

エイトマンのテレビでは番組の中間に入る「丸美屋」のコマーシャルが非常に印象に残っています。白木みのるが「すき焼きふりかけ」のコマーシャルをやっていました。白木みのるが、デパートの大食堂でライスだけ注文して、すき焼きふりかけをかけて食べます。すると外人（？）のボーイが「おー、す・き・やーき」と言って驚く、こんな内容だったと思います。コマーシャルのあと、エイトマンが走る音をバックに「エイトマン」という声が入って後半が始まっていました。

警視庁捜査一課の刑事であった東（あずま）八郎（亡くなったトリオ・スカイラインのリーダーと同姓同名）が、ピストル強盗の罠にかかって殺されます。谷博士がアメリカ（テレビではアマルコ共和国）から持ち帰ったスーパーロボットの電子頭脳に、東八郎の記憶や性格をコピーします。そして東八郎はエイトマンとしてよみがえります。「ロボコップ」も同じ設定でしたが、あれはエイトマンのまねだったんでしょうね。

エイトマンのおもしろいところは、スーパーロボットでありながら、ピンチに陥ることが多かったことです。エイトマンの電子頭脳はたびたび熱を持ち、強化剤を喫ってときどき冷やしてやらなければなりません。この弱点があるところがよろしい。主人公が無敵であるというのはおもしろくありません。主人公がピンチに陥れば陥るほど見ているほうはハラハラさせられて面白いものです。

エイトマンは、普段は東八郎として探偵事務所の所長をしており、アシスタントには、さち子さんと一郎少年がいます。一郎少年はラーメン好きで、いつもラーメンばかり食べています。さち子は東を密かに慕っています。東はロボットなので、さち子の手料理も食べたフリをして、あとで胸から出して捨てなければなりません。一度エイトマンの電子頭脳が狂って意識朦朧の中でさち子に化けるシーンがありますが、エイトマンもさち子のことを好きだったのかもしれません。さち子とエイトマンのラブストーリーを物語のあちこちにちりばめるともっとおもしろくなっていたでしょう。例えば、タイガーマスク（テレビ版）のように。「タイガーマスク〜伊達直人〜ルリ子さん」の構図が「エイトマン〜東八郎〜さち子さん」にぴったりと当てはまります。ロボットと人間のかなわぬ恋、これはいけそう。しかし、当時の少年漫画は、恋愛ものは一切ありませんでした。それでなくても漫画がまだ大人たちから勉強を妨げるものとして敵視されていたころですから、これに恋物語を入れるということはとてもできない相談だったのでしょう。

エイトマンが最強の敵と相打ちになり、ボディは破壊されるが電子頭脳だけ残る。谷博士は、東八郎の肉体を冷凍しており、新技術によりエイトマンの電子頭脳にコピーした東八郎の性格、記憶などを元に戻す。東はさち子とめでたく結婚する。最終回をこのようにすればおもしろいと思いませんか？(2001.3.9記)

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