のらくろ

田河 水泡 作画


  78回転SP盤。
  サイズは、直径25センチ。
  発行年 収録物語のタイトルから
        昭和10〜15年頃のものと思われる。
  上から、
  児童劇
  のらくろ鬼少尉(上) ※裏面が(下)
  少年倶楽部連載
  (田河水泡原作・長谷山峻彦脚色作曲)
  キング管弦楽団
  大日本雄辯会講談社(納付済)
  と書いてある。

 
  上から、
  キングレコード
  ポリフアー式電気吹込
  株式会社ポリドール蓄音器商会吹込製作発売
  編集発行大日本雄辯会講談社
  と書いてある。
  上から、
  King Record
  Electrical polyfai
  Recording
  ポリフアー式電気吹込
  株式会社ポリドール蓄音器商会吹込製作発売
  編集発行大日本雄辯会講談社
  と書いてある。


本サイトにおいてSPレコードの初登場です。字が横書きで右から左へ書かれていますので、おそらく戦前のものでしょう。発売年は分かりません。レコードの物語「のらくろ鬼少尉」の時期から昭和10年から15年頃ではないかと思います。(どなたか情報をお持ちでしたら教えてください。)

このレコードは今でも充分聴けます。プレーヤーが45回転までしかないので、自分の手で78回転の速さにまで回転を上げてやる必要があります。やってみると分かりますが、30秒くらい続けるともう手が疲れます。盤の大きさは、橋幸夫傑作集日本軍歌集と同じ大きさ、30センチLPよりやや小さい25センチサイズです。お話は両面に入っており、長いように見えますが、78回転なので、以外とそうでもありません。17センチシート・レコード(33回転)に入っているお話と同じくらいの長さです。お話の合間合間に歌が入り、大変楽しい内容になっています。

このレコードのお話「のらくろ鬼少尉」は、実際に田河水泡の漫画があります。物語は、ほぼ原作の漫画どおりに進んでいきます。左の写真は、講談社の少年倶楽部文庫全4巻のうちの第1巻ですが、「のらくろ鬼少尉」の話は、第3巻63〜89ページにあります。猛犬連隊に来た年賀状の整理、新年のかくし芸大会、熊軍の侵攻、のらくろの大活躍による熊軍の退却、この功績によるのらくろの少尉から中尉への進級、というお話です。

「のらくろ」はおもしろいですよ。思わず、エヘッと笑ってしまうところがあります。基本的に4ページが一つの話になっています。
漫画「のらくろ」は、のらくろが二等兵で始まって最後には大尉まで昇進します。このレコードは、のらくろが少尉のときのものです。参考までに、日本陸軍の階級は次のようになっていました。
二等兵→一等兵→上等兵→伍長→軍曹→曹長→少尉→中尉→大尉→少佐→中佐→大佐→少将→中将→大将→元帥。(わかりやすいように単純化しています。)

渥美清の主演映画「拝啓天皇陛下様」(昭和38年作品 野村芳太郎監督 松竹映画)に渥美清扮する2年兵山田庄助が、軍隊で少年倶楽部の「のらくろ」を読むシーンが出てきます。
2年兵になった山田庄助が、初年兵柿内(垣内?)(藤山寛美)に読み書きを教わります。字を覚えたばかりですので、幼児のような読み方をします。
「お・き・ま・で・お・よ・い・で・で・る・と か・え・り・に・た・い・へ・ん・ほ・ね・が・お・れ・る・よ よういと・こうら よういと・こうら の・ら・く・ろ ず・い・ぶ・ん・ち・か・ら・が・あ・る・な」(「沖まで泳いで出ると帰りにたいへん骨がおれるよ」「よーいとこーら」「よーいとこーら」「のらくろ ずいぶん力があるな」)
これは、のらくろが伍長のときの話で、写真の「のらくろ漫画集(1)」の158〜159ページに載っています。
山田庄助は「のらくろ」について、「のらくろはかわそうじゃの〜 わしによう似とるけんの〜」と言っています。

「のらくろ」は、昭和6年から昭和16年まで「少年倶楽部」に連載され、それから約30年もたってテレビ化(昭和45年〜46年)されました。昭和5年頃紙芝居でデビューした「黄金バット」が昭和42年にテレビ化されたのといい勝負です。のらくろ副主題歌「ぼくはどこから」は当時テレビからカセットテープに録音したものを今でも持っています。(ゲゲゲの鬼太郎の項参照)
(2001.10.10記)

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